来馬川で遊ぶ
国道から別れた旧国道は、さっきよりもまた一段と気持ちのよい草道。
ぐーんと広まった空が笹原を縫い、林をくぐって草を踏んでゆく足取りを、いっそう軽やかにしてくれた。
時折り道のすぐ脇に寄ってくる来馬川の、幅1メートルほどに狭まってせせらぎのようにさわやかに流れる水も。
立ち止まって流れに見入る人。
草の中にしゃがみこんで植物観察に余念のない人。
ただ一人スカート姿で空を仰ぐ中川悦子さん。
行手に棒のように突っ立っているのは何だろう、と眼をこらしたら、笹の中に一本ボソリと残っている国道標だった。
真っ黒に錺びて、道路番号は全く読めないが、ここが旧国道だという証人であることに間違いはなかった。
そんな感慨深いことえお考えながら頭の中は北海道 旅行の今日の晩御飯である。
結局のこの日は海の幸を堪能して非常にまんぞくした。
大好物のカニ抜きで、こんどはカニのおいしい時期に来ようと思わせるだけの威力があった。
100メートルばかり先を歩いていた一団の中の一人が、大声で叫んで右のほうを指さしている。
私は手を振って、その通り、右へ行け、とサインを送った。
そこから分水界を越えて断崖を海へ降りてゆく道が別れている、とわかったので。